榑松由佳子先生の論文「Adrenal Crisis Associated With COVID-19 Vaccination in Patients With Adrenal Insufficiency」が2023年8月14日JCEM Case Reportsに公開されました。
榑松由佳子先生の論文「Adrenal Crisis Associated With COVID-19 Vaccination in Patients With Adrenal Insufficiency」が2023年8月14日JCEM Case Reportsに公開されました。
この論文は自験例の下垂体機能低下症に伴う中枢性副腎不全の患者さんでコロナワクチン接種後に副腎クリーゼを起こした3症例をまとめるとともに、ワクチン後のクリーゼについてのこれまでの文献レビューをしたものです。その結果、以下の興味深いことが明らかになりました。今後コロナワクチンは定期接種化される可能性もありますし、副腎不全の患者さんと診療されている先生たちにとって非常に重要な情報を提供できたと思います。
重要なポイントは以下の通りです。
- 副腎不全で補充療法中の患者さんはコロナワクチン接種後の副反応に関連して副腎クリーゼを起こすリスクがある。
- インフルエンザワクチンなど従来のワクチンでは副腎クリーゼの報告はない。それはおそらくコロナワクチンの強い全身性副反応によるものと考えられる。
- コロナワクチンの場合、アデノウイルスベクターワクチン(アストロゼネカ)の場合には1回目接種後、mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)の場合には2回目接種後にクリーゼを起こしやすい。このことはアデノウイルスベクターワクチンでは1回目から、mRNAワクチンでは2回目により強い副反応が出やすいことが関連している可能性がある。
- 高齢者でコロナワクチン接種後に発熱や食欲低下を呈した場合には、副腎クリーゼ発症のリスクがあり、このような全身症状が現れた場合にはヒドロコーチゾンを増量する必要がある。その場合には2倍量では足らず3倍量以上に増量する。
- コロナワクチン接種する場合には、上記の点について患者及び家族へのストレス時の対応に対する教育が重要である。
オープンアクセスですので、ご興味のある先生方は是非ご覧ください。
https://academic.oup.com/jcemcr/article/1/4/luad079/7242395?searchresult=1