紙谷史夏先生の論文 “Multiple or Single Endocrine Abnormalities Associated with Immune Checkpoint Inhibitors”がJCEMに出版されました!

紙谷史夏先生の論文 “Multiple or Single Endocrine Abnormalities Associated with Immune Checkpoint Inhibitors”がJCEMにアクセプトになったことをお知らせしたと思ったらアクセプト版がもう出版されました!フリーアクセスのリンクもありますので、ご興味がある先生はどうぞご覧ください。Figureを見ていただいたら非常にわかりやすいと思います。

https://academic.oup.com/jcem/advance-article/doi/10.1210/clinem/dgaf347/8160854

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)におけるirAEで内分泌関連のものは頻度が高いですが、複数の内分泌関連irAEをきたす症例は稀ではなく多くの症例報告がなされています。一方で正確な疫学データや生命予後についてはこれまでの施設ごとコホートやレジストリで明らかにすることは困難でした。本論文は1300万人のDeSCデータベースを用いて1万人以上の免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者さんを対象として行なったまさにビッグデータ解析の結果を報告したものです。

12978名のICI投与患者において補充療法が必要となる甲状腺機能低下症、副腎機能低下症、1型糖尿病をきたした頻度はそれぞれ10.5%, 4.6%, 0.6%であり、複数合併例は1.4%に認めました。最も多い組み合わせは甲状腺機能低下症と副腎機能低下症で全体の1.3%です。さらに興味深いのは、不死化バイアスを考慮した調整後においても複数合併例(HR0.39)は、単数合併例(HR0.65)、非合併例よりも死亡リスクが有意に低下して生命予後が改善することが明らかになりました。 今回の結果はICIの作用機序、irAEの病態を考える上で科学的にも非常に興味深いとともに、補充療法が必要な患者さんを勇気づける結果だと考えています。私たちは今後もビッグデータを用いて患者さんに役立つ結果を発信していきます。

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