糖尿病・内分泌内科の教育・専門研修の案内
奈良県立医科大学附属病院 糖尿病・内分泌内科は、本院の内科専門医研修プログラムの一翼を担うだけでなく、糖尿病専門医(日本糖尿病学会)・内分泌代謝科専門医(日本内分泌学会)取得のための認定教育施設です。また新内科専門医制度で連動研修の対象となるサブスペシャリティの一つである内分泌代謝・糖尿病内科(領域)の研修も可能です。
当科のスタッフは教授を始めメンバー全員が指導大好きですので、和気藹々としたカンファレンス、症例発表、学会発表などを通じて楽しく研修を行うことができます。
糖尿病・内分泌内科の指導体制
▶総合内科専門医6人、内科専門医 3人(新専門医制度)(内科指導医 8人)
▶内分泌代謝・糖尿病領域専門研修指導医 9人
▶糖尿病専門医 11人(指導医 6人)
▶内分泌代謝科専門医 8人(指導医4人)
初期研修医の先生へ
糖尿病・内分泌内科は2020年に糖尿病センターと消化器・内分泌・代謝内科の内分泌部門が合流して生まれた新しい診療科です。その名の通り、糖尿病と内分泌疾患の総合的な研修が可能です。
糖尿病においては、2型糖尿病はもとより1型糖尿病・妊娠糖尿病・膵性糖尿病・様々な要因による二次性糖尿病など、大学病院ならではの多彩な糖尿病を経験することができます。糖尿病は、将来どの診療科を専攻しても避けて通れない疾患であり、初期研修医時代に血糖コントロールや糖尿病診療の基本を学ぶことは、必ずや重要なスキルの獲得と自信につながります。さらに今や非常に多くの糖尿病治療薬が使えるようになりました。同じ患者さんを治療する場合でも、エキスパートが的確な薬剤を選んで治療をすれば患者さんの血糖コントロールだけではなく、QOLや生命予後までも違ってきます。
内分泌疾患には電解質異常、骨粗鬆症や甲状腺疾患、原発性アルドステロン症といったcommon diseaseから下垂体疾患、副腎疾患など比較的まれなものまであり、奈良県下に内分泌疾患を診療する医療機関が少ないこともあって多くの疾患が当科に集まります。内分泌疾患はホルモンの働きを通じて病態をロジックに理解することができ、その症候は多彩で全身横断的です。内分泌学的な思考を理解することは、病態生理を理解して臨床能力を高める上で、内科医としても極めて有用です。そして内科だけでなく、小児科や産婦人科、外科(脳神経外科や泌尿器科等)を専攻する先生方にも有意義な研修になるでしょう。
初期研修の時期に、医師としての診療の幅を広げるとともに、糖尿病・内分泌内科学における病態生理へのロジックなアプローチを身につけておくことが重要です。糖尿病・内分泌内科での研修は、将来内科を専攻する方はもちろん、どの診療科を専攻しようとも、有意義な研修になることを請け負います。
後期研修医の先生へ
後期研修は、内科専門医としてブラッシュアップするだけでなく、内科サブスペシャリティー領域の専門医となるための研修です。糖尿病・内分泌内科では、内科サブスペシャリティー領域として「糖尿病」および「内分泌代謝」の専門医取得のための研修を行なうことができます。両専門研修を併行して行ない、同時に2つのサブスペシャリティー専門医を取得することが可能です。
後期研修は奈良県立医科大学附属病院の内科専門医プログラムに則って、3年の後期研修期間の2年間を大学病院で、1年間を連携施設での研修を行ないます。これらの研修を通じて、「糖尿病」「内分泌代謝科」専門医を取得するための研修だけでなく、大学病院内外の他診療科をローテート研修することで、一人前の内科専門医となるための研修を行ないます。
専門医になるためには各疾患の経験だけでは無く、学会発表や学術誌での論文発表経験も必要になります。糖尿病・内分泌内科では、日本内科学会/日本糖尿病学会/日本内分泌学会を中心に、初期・後期研修医の先生方に学会発表・論文発表の機会を設け、医局としてサポートしていきます。また、是非国際学会での発表も一緒にチャレンジしましょう。
大学院進学(博士号取得)を目指される方へ
皆さんは日常診療を続けていると現状の医学の限界を感じたことはありませんか?大学の重要な使命として、今の医学の限界を超えて未来を創造していくことがあります。これは医学研究を通じてしかできません。糖尿病・内分泌内科学講座では、大学院医学研究科に博士課程を設置しています。博士課程は単に学位を取るためのプロセスだけではありません。英文論文を読みこなして世界の最先端の情報を得て理解し、さらに英文論文を自分で書くことによって世界に情報を発信することを学ぶと、臨床医としてもより高い視点で活躍することができます。また当講座では、単に論文を作成するだけではなく最終的には患者さんに還元できるような研究テーマに取り組んで頂きます。皆さんも研究を通じて今の医学の限界を越えていきませんか?そして教科書にあなたの名前を刻んでみませんか?
研究テーマとしては、臨床的な視点から糖尿病患者の合併症防止、QOLの維持・寿命の確保を目指す効果的な介入方法を開発するための臨床・疫学研究、原因不明の内分泌代謝疾患の病因・病態の解明、創薬などに取り組んでいます。
なお、大学病院や他の医療機関での勤務を行いながら学ぶ社会人大学院生の制度もあります。その場合、大学院在学中も各種専門医取得のための臨床研修を受けることが可能です。研究に対する熱い情熱を持った方は大歓迎ですが、研究はやったことはないけれど興味があるくらいの気持ちでも大丈夫ですし、産休、育休中に研究にチャレンジしたいという女医さんも歓迎しますので、お気軽にご相談下さい。
大学院生の声
津川 峻輔
学生の頃、糖尿病を抱える方とのかかわりについて学び、心から感動を覚え、糖尿病を通じた1人1人の人生に自分が少しでも支えになれればと感じたことがきっかけで、この道を志望しました。また、糖尿病と内分泌疾患は切っても切れない関係にあり、内分泌機構にも同様にも魅了されるまでは時間がかかりませんでした。その後、後期研修医時代に当科で研修した際、ディスカッションのあまりのアカデミックさに感銘を受け、糖尿病・内分泌疾患の深みを垣間見ました。
是非ここで勉強したいとの思いで社会人大学院生として入学しました。現在、大学院では大規模な研究に勤しみ、そして日々の臨床ではチーム全体で患者さんに寄り添いながら、根本の病態まで上級医から指導を受けることができます。他では経験できないこのような恵まれた環境が当科の大きな魅力です。当科での大学院や臨床を経験すれば、必ず新たな視点が生まれ、そして糖尿病・内分泌疾患の深みをこれでもかというくらい知ることができます。ぜひ一緒に勉強しましょう。いつでもお待ちしております。
勝又 美穂
私は医師6年目の2023年4月に入局し、同時に大学院に入学しました。今は社会人大学院生として、医員として業務をしながら研究を行っております。私は関東出身で、関西に住んだことや働いたことは一度もありませんでした。医局には入らずに内科専攻医として働き、6年目以降の進路に迷っていた時に内分泌疾患について活発に活動している髙橋裕教授をはじめとする奈良県立医科大学糖尿病内分泌内科学講座に出会い、入局しました。ワークライフバランス、QOLなど様々な言葉が今の時代飛び交っていますが、どのステータスでも優劣は無いと思っておりますし、自身が納得して選んだ道であればどんな道であれその人にとってベストと考えております。この医局はそんなベストな道を探し、見つけられる医局と思っております。自身も成長し続けられるよう、今後も努力したいと思っております。